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UC バークレーで学んだ「バークレーイズム」

 

今回の記事は過去に自身のブログで公開し評判の良かったテーマは「バークレーイズム」に関する内容です。オフィシャルにバークレーイズムというものはありませんが各個人がバークレーで学び、感じ、習得する習慣や文化をバークレーイズムと呼ぶことにします。

僕の友人と酒の席とかで何がバークレーイズムかについて話すことがあり、その中で代表的な2つの特徴を紹介したいとおもいます。それは・・・
・共に学ぶ
・社会を変える為なら無償で知識を公開する。この2点です。

【共に学ぶ】

僕は勉強は個人技だと思っていました。講義を受け自分で復習して知識を得ることが勉強だと。。。しかし、ここバークレーでは各個人が学んだことをどのように応用できるか頻繁に議論する。誰に命令されるわけでもなく能動的にスタディーグルーブが形成され小さなグループとなって勉強します。

読書課題を終え、その論点や様々な解釈について他の学生と議論したり課題を共同でこなしたりもする。バックグラウンドや専攻などが違えばそれだけ違う考えを交換できるし各々得意分野が違うので効率も高まります。そうすることで効率と効果を最大化を図りまたみんなで新しいアイデアを生み出す習慣がつくのです。

僕はバークレーで勉強は団体戦だということを学びました。そして大学はこの成果を最大化する為に多様性の高い環境を作り続けてます。

知恵や考えを掛け合わせ共に考えることがバークレーにおける勉強であって個人技の勉強は事前準備でしかない。周りの人間と共に学ぶことにより考えを発展させ新しいことを創造する、この習慣が一つのバークレーイズムです。

【社会を変える為、無償で知識を公開する】

自分が努力して得たものは無償で他人に渡したくない。普通そうですよね。知識を得る場合には好きなことや遊ぶ時間を諦め勉強に対して時間とエナジーを費やすことで始めて習得できるもの。でもここでは平気で公開してしまう。

主な理由は社会貢献。ちなみにこの傾向はスタンフォードやシリコンバレーの起業家文化にもみられると思う。(イーロン・マスクが電気自動車の特許技術を公開することで環境改善を加速させるなどはその例だと思います。)

習得した知識を無償で公開することは以下の3点の理由で名目上のみならず必要で有益なことです。でも多くの人はそれに気づいてない。

・得た知識は使わないと価値がない。
・得た知識を他の知識と掛け合わせるとクリエイティブな新しいものが作れる。
・得た知識はすぐに古くなる。

そして躊躇なく知識を公開することができるのはそれだけ新し知識を絶え間なくまた素早く吸収することができる自信があるからです。僕は卒業までにその能力を体得することが必要だと思っています。

【まとめ】

この2つの特徴を理解するとバークレーイズムはこのように解釈してもいいのではないだろうか「知ったら話して世界を変えろ」。

だから知れる能力だけではダメでそれを話して学びを深め、創造し、広めることで社会を変えていく能力がある人間をこの大学は求めているしそんな人が集って面白い文化を形成しているのだと思います。

 

アメリカの大学ではいったいどんな勉強してんの?? UCバークレー政治経済専攻の場合

地元に帰ると友達に「何勉強してんの〜?」って聞かれるので「政治経済だよ〜」っと答えるとみんな「???」ってなるので僕もゆる~い感じでUC Berkeleyの政治経済専攻がどんなことを勉強しているのか書いてみることにします。

よく「経済学部となにが違うの?」か「政治学となにが違うの?」と聞かれるのですがミクロ系の計算が多い経済学部と様々な文献を読み論文を書きまくる政治学の中間って感じそれと統計、歴史を勉強する専攻です。扱う教材は古典的なものが多いので世界中の大学で勉強されている政治経済学と大差ないのではないかと思います。卒業するまでには相当な冊数を読む専攻なので「読書したーい!」って学生でなければ地獄な専攻かもしれません。

 

読む本は例えばアダム・スミスとか

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カール・マルクスとか

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を読んでディスカッションするのが好きな人にはたまらない専攻だと思います。

 

<必修科目について>

とは言ってもそれ以外のタイプの科目もカバーするのでバランスがとれていると思います。必修科目はマクロ経済学、ミクロ経済学、統計学、歴史、古典政治経済、現代政治経済、第二言語とConcentrationこんな感じ。

Concentrationは日本の大学で言ったら学科みたいなものじゃないかなーと思います。自分の興味のある分野を自由に決めてそれに合う4つのクラスを選択し大学に「オレこれ勉強しま〜す!」と宣言して承認されるとそれがConcentrationとして自分オリジナルの学科を作れます。ちなみに僕のテーマはDevelopment and the Third Worldなのでもはや政治経済学と開発学(Development Studies)のダブル専攻のような感じです。

 

 <普段のスケジュールについて>

普段のスケジュールはクラス1つの講義が週に2回もしくは3回あって週に1回ディスカッションセクションがある感じで多くの学生が1学期に4クラスくらい受講する感じです。授業で拘束される時間は以外と少ないのですが予習や読書課題、論文などをそれぞれこなしていると結構時間がかかってしまいます。

授業のノートテイキングも教授が言ったことをがむしゃらにうわぁーってメモしていても追いつかないのでレコーダーに録音して後で必要なところを聞いてまたノート書くとかやってると結構一日直ぐ終わっちゃうんです。僕がOld and New Europe, 1914-Present (History158C)というクラスで実際に書いたノートがあるのでどんな感じかもし興味があったら覗いてみてください。これが結構骨の折れる作業なんです。。。

リンクここです, History158C

 

<コアクラスについて:古典政治経済>

せっかくなので必修のコアクラスである古典政治経済学Classical Theories of Politcal Economy (Political Economy100)の内容を少し書いてみます。古典をゴリゴリに読む授業で「週末にアダム・スミス国富論400ページ読んできて〜」とか平気で言われるクラスだったので留学生の僕にはかなりキツかったが恐らく大学以外では絶対に読まないだろうけどものすごく有名な著者の文章を読んだのでだいぶ鍛えられた。

下記はこの授業で読んだ本。シラバス通りの順番なのでもし「政治経済の古典ちょっと読んでみたいな〜」って思ったらこの順番に沿って読んでいけば関連性が見えるのでより面白いと思います。

 

  • ニッコロ・マキャヴェッリ「君主論」
  • トマス・ホッブズ「リヴァイアサン」
  • ジョン・ロック「統治二論」
  • ジャン=ジャック・ルソー「社会契約論」
  • ジャン=ジャック・ルソー「人間不平等起源論」
  • アダム・スミス「道徳感情論」
  • アダム・スミス「国富論」
  • カール・ポランニー「大転換」
  • デヴィッド・リカード「経済学および課税の原理」
  • トマス・ロバート・マルサス「人口論」
  • アレクシ・ド・トクヴィル「アメリカの民主政治」
  • ソースティン・ヴェブレン「有閑階級の理論」
  • ジェレミ・ベンサム「道徳および立法の諸原理序説」
  • ジョン・ステュアート・ミル「自由論」
  • メアリ・ウルストンクラフト「女性の権利の擁護」
  • フリードリヒ・ヘーゲル「法の哲学」
  • フリードリッヒ・リスト「政治経済学の国民的体系」
  • カール・マルクス「資本論」
  • カール・マルクス「共産党宣言」
  • マックス・ウェーバー「官僚制」
  • フレデリック・テイラー 「科学的管理方法」
  • ベネディクト アンダーソン「想像の共同体」
  • ウラジーミル・レーニン「帝国主義論」
  • ヨーゼフ・シュンペーター「帝国主義と社会階級」
  • ジョン・A・ホブソン「帝国主義論」
  • ジョン・メイナード・ケインズ「一般理論」

 

 

<ディスカッションの雰囲気:古典政治経済>

これらを用いてディスカッションします。例えばホッブスとロックを読んで人間性について考える。ホッブスは「人間はみんなわりぃーやつらだ!」と考えロックは「人間はみないいやつ!」と考えるので誰が主権を持つべきかと話になるとホッブスは特別な一人(君主とか)が主権を持つべきと言いロックは国民に主権があると主張するとかそういったことをどんどん話していく。するとクラスの大半が「民主主義の方がいいでしょ!」ってなる。

でもロックもホッブスも「もし誰かにぶん殴られそうになったら正当防衛してもいいよ!」と主張してるけどロックが言う様に人間みないいヤツだったらそもそも殴られる心配ないでしょ?じゃーやっぱり人間って悪いやつだと考えて政府は法律を作るべきなの?とか終わりなく掘り下げていく。

他にもルソーを読んで不平等はどこから来るのか?資産はどこから来るのか?頑張って働いて得た資産や価値(労働価値説)は政府が守るべきでその為に法律を作ろうってロックとかが言ってたけど相続も法で守られていてそれは労働なしで資産を得られるって不平等じゃんかー。。とか色々。

 

こんな調子でどんどん読み進めてアダム・スミスやマルクスなど代表的な著書を議論し現代の内容にシフトしていって最近日本でも話題になっているピケティの21世紀の資本論とか読んだりするのが政治経済専攻です。

サンフランシスコの地下シェルターでホームレス生活しゼロスタートからのUC Berkeley卒業生 A・Uさん

下記のインタビュー内容は僕が留学していた時に知り合った日本人UCバークレー生をインタビューしたものの中からとびっきりインパクトのあったインタビュー記事を転記したものだ。バークレーの編入に関する情報は過去に違うサイトにまとめてあるのでこちらをどうぞ。

 

大学;University of California, Berkeley
専攻;Political Economy
卒業;class of 2012
出身校;San Francisco City College

【留学のきっかけ】
高校時代からバンドをしていたので音楽に対する興味と環境を変える為に1月の予定で渡米当時19歳

【バックグラウンド】
日本育ちで黒人とのハーフ。中学3年生頃から愚れて非行に走る。傷害、窃盗、共同危険行為等(ケンカ・盗み・暴走族)の少年犯罪の前科も多数あり少年鑑別所に1か月間収監されたこともあった。高校は偏差値30くらいで退学する学生が多く、入学1年後には1クラス減る程の市内最下位の高校に進学。卒業後はコンビニでバイトや派遣の仕事などで生計を立てた。

典型的な不良少年ではあったものの出身中学の不良名門校でなかったので立場が低く肩身の狭い思いをたくさんした。街を歩けばケンカを売られ、バイク二人乗りしていたら突然車に横付けされバットで殴られそうになったり、地元の先輩からは盗みの当番(彼らが欲しいものをとってくる役回り)が回ってきたりした。高校卒業後には先輩の経営するキャバクラに周りの友人がボーイとして強制的に働かされていた。そろそろ自分も強制的にやりたくもないボーイをやらされると思い、環境を変える為に1ヶ月の予定でサンフランシスコに渡米した。当時19歳。

滞在先のホステルで元UCLA教授の中国人と知り合いアメリカ大学を勧められコミュニティーカレッジから転入できることを知り滞在期間の延長を決意。しかし、1ヶ月の滞在予定だったので予算は20万円しかなく直ぐに無一文になる。ホームレスが収監されるサンフランシスコのシェルターが存在することを知りそこで3ヶ月間ホームレスを経験。その後ホームレスが自立するための施設に移動しホームレスとの共同生活を1年半続け自立を目指した。幸いにもアメリカ国籍を持っていたのでシェルター住んでいた頃にJapaneseレストランでのバイトを見つけひたすら貯金した。自立した時には貯金額200万円にも達したが株に手を出しリーマン・ショックで大半を失った。

残ったお金でアパートに移りSan Francisco City Collegeに入学した。既にアメリカに2年近く住んでいたがまともに英語の勉強をすることができなかったのでESL下から2番目のクラスから授業がスタートし4年かけて働きながら学校に通い編入の準備をした。仕事と勉強の両立は大変であったが毎日必死にやった。Honor Societyのプログラムも沢山こなしなんとかUC Berkeleyに編入を果たした。

【編入時のGPA】
3.7

【エッセイの内容】
自分で稼ぎ勉強することができることをアピールし、成績Cを取ってしまった後から二度と取らないよう取り組んだことなどを書いた。

【課外活動・クラブ活動】
なし。(クラブ活動、ボランティアなど一切なし)
バイト週40時間以上

【Berkeley Political Economy専攻での思い出】
本を読む量が多く1クラス最低3冊以上は読んだ。
一週間以内で1冊読むこともある。
勉強量が増えるため働くことができないのが金銭的に一番つらかった。

【卒業後】
シリコンバレーのテックカンパニーでエンジニア