※僕が大学で運営するはっちスタジオBerkeleyという大学誌の記事を念のためブログでもシェアします。http://ucberkeley.hatchstudioinc.com/archives/138
2015 年 第一弾 世界の第一線で活躍する研究者の中でひと際浮いている B-Boy Mathematician(数学者)の町田拓也(マチダタクヤ、以下Takuya)さんをインタビューしました(写真中央、青色の服)。
写真は、2014 年1 月にBaltimore Convention Center, Baltimore, Maryland, America において開催された、2014 Joint Mathematics Meetings AMS Special Session on Quantum Walks, Quantum Computation, and Related Topics にて撮影されたもの。
彼も自身の研究である量子ウォークの研究結果をプレゼンテーションすると共に、このセッションのオーガナイザーのひとりとして活躍した。この研究集会は、毎年アメリカで開催されており、世界中の数学者が集まる世界トップクラスの数学の研究集会である。
<略歴>
- 2005 年 横浜国立大学工学部生産工学科卒
- 2010 年 横浜国立大学大学院工学府博士後期課程修了
- 2013 年 日本学術振興会・特別研究員PD,カリフォルニア大学バークレー校数学科Postdoctoral Scholar(兼任,2015 年1 月まで)
- 現在に至る
- 博士(工学)
- 専門: 数学 確率論
- 研究分野: 量子ウォーク,複雑ネットワーク
<カルフォルニア大学バークレー校での研究活動に至るまでの経緯>
現在専門的に研究を行っている量子ウォークは、比較的新しい研究分野であり、日本国内にある量子ウォークのコミュニティーは、今現在とても小さい。視野を広げるために海外の研究者と直接議論して共同研究をしようと思ったのが、渡米のきっかけである。
所属先である日本学術振興会の特別研究員(3 年の任期付)として研究をするにあたり、最大1 年半(18 ヶ月)の間、海外での研究活動が許されており、活動予算もあることから、カルフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)での活動を決めた。大学の選定理由は、量子ウォークを研究している知り合いの教授が、この大学にいたからである。
<研究分野について>
量子コンピュータの数理モデルの1 つと考えられる量子ウォークの性質を、数学的視点から明らかにするために研究をしている。微粒子のブラウン運動のように、粒子の動きが無作為(ランダム)に決まるような運動を「ランダムウォーク」と呼び、量子ウォークはこのランダムウォークの量子版に相当するものである。量子ウォークを応用した量子アルゴリズムもこれまでに多数考案され、量子コンピュータへの応用に向けた研究が進められている。
<UC Berkeley でのライフスタイル>
昼間は研究をしているが、仕事が終わると20 歳の頃からやっているダンスをしている。ハマり症ということもあり、数学とダンスにはハマり続けている。興味のあるダンスのジャンルも様々で、ブレイクダンス、ロック、ポップ、ヒップホップ、ハウス、ジャズなどを取り入れて踊るフリースタイルダンサーである。
日本では自身のダンスチーム Soul Ability(ソウルアビリティー)での活動経験もあり、都内のクラブイベントでショーケース活動を行っていた。
アメリカでは、ベイエリアで開催されているダンスセッションに参加して練習を続けている。主に、サンフランシスコ市内のCity Dance Studios(10 Colton Street, 9pm to 11pm, Monday and Wednesday)で開催されているオールスタイルダンスのセッションと、UC Berkeley で開催されるDwinelle Hall Breakersのブレイクダンスのセッション(UC Berkeley の学生により企画されているため練習場所と日時はその都度決まるが、公式にはTuesday and Thursday となっている)に参加。ベイエリアのダンサーと練習を一緒に行い、コミュニケーションを図っている。
“Takuya”の名前は、Berkeley にいる大抵のB-boy ダンサーには知られており、その存在をベイエリアに刻んで、研究者とダンサーを両立している。遊び場のクラブも教えてもらい、サンフランシスコ市内にあるTemple SF やオークランドにあるNew Parish がおすすめとのこと。
Takuya さんが友人と一緒にオーガナイズしたダンスイベント(UBE Presents:The Free For All Battle sponsored by Takuya Machida @ MVMNT Studios, 2015 年1月17 日)。
Takuya さんは2015 年2 月に日本に帰国するため、事実上、彼のフェアウェルパーティーとなった。サンディエゴからも友人が駆けつけるなど、ベイエリアのダンサーが彼を見送るために集まった(写真中央がTakuya さん)。
ダンスをしているTakuya さんのイメージとは違って、普段は数学のことばかり考えているようである。しかし、ダンスをしている時だけは数学のことを忘れて、仲間との楽しい時間を過ごせるので、Takuya さんにとってダンスは非常に大切な存在となっている。
ダンスを始めた当初に出会ったダンスインストラクターに、“好きなことで食っていく”ことの素晴らしさを教わり、Takuya さんも自身の好きなことと共に自由に生きている。今後、何がしたいかと質問すると「これからも楽しく生きていきたい」と彼らしい返答をもらった。