地元に帰ると友達に「何勉強してんの〜?」って聞かれるので「政治経済だよ〜」っと答えるとみんな「???」ってなるので僕もゆる~い感じでUC Berkeleyの政治経済専攻がどんなことを勉強しているのか書いてみることにします。
よく「経済学部となにが違うの?」か「政治学となにが違うの?」と聞かれるのですがミクロ系の計算が多い経済学部と様々な文献を読み論文を書きまくる政治学の中間って感じそれと統計、歴史を勉強する専攻です。扱う教材は古典的なものが多いので世界中の大学で勉強されている政治経済学と大差ないのではないかと思います。卒業するまでには相当な冊数を読む専攻なので「読書したーい!」って学生でなければ地獄な専攻かもしれません。
読む本は例えばアダム・スミスとか
カール・マルクスとか
を読んでディスカッションするのが好きな人にはたまらない専攻だと思います。
<必修科目について>
とは言ってもそれ以外のタイプの科目もカバーするのでバランスがとれていると思います。必修科目はマクロ経済学、ミクロ経済学、統計学、歴史、古典政治経済、現代政治経済、第二言語とConcentrationこんな感じ。
Concentrationは日本の大学で言ったら学科みたいなものじゃないかなーと思います。自分の興味のある分野を自由に決めてそれに合う4つのクラスを選択し大学に「オレこれ勉強しま〜す!」と宣言して承認されるとそれがConcentrationとして自分オリジナルの学科を作れます。ちなみに僕のテーマはDevelopment and the Third Worldなのでもはや政治経済学と開発学(Development Studies)のダブル専攻のような感じです。
<普段のスケジュールについて>
普段のスケジュールはクラス1つの講義が週に2回もしくは3回あって週に1回ディスカッションセクションがある感じで多くの学生が1学期に4クラスくらい受講する感じです。授業で拘束される時間は以外と少ないのですが予習や読書課題、論文などをそれぞれこなしていると結構時間がかかってしまいます。
授業のノートテイキングも教授が言ったことをがむしゃらにうわぁーってメモしていても追いつかないのでレコーダーに録音して後で必要なところを聞いてまたノート書くとかやってると結構一日直ぐ終わっちゃうんです。僕がOld and New Europe, 1914-Present (History158C)というクラスで実際に書いたノートがあるのでどんな感じかもし興味があったら覗いてみてください。これが結構骨の折れる作業なんです。。。
<コアクラスについて:古典政治経済>
せっかくなので必修のコアクラスである古典政治経済学Classical Theories of Politcal Economy (Political Economy100)の内容を少し書いてみます。古典をゴリゴリに読む授業で「週末にアダム・スミス国富論400ページ読んできて〜」とか平気で言われるクラスだったので留学生の僕にはかなりキツかったが恐らく大学以外では絶対に読まないだろうけどものすごく有名な著者の文章を読んだのでだいぶ鍛えられた。
下記はこの授業で読んだ本。シラバス通りの順番なのでもし「政治経済の古典ちょっと読んでみたいな〜」って思ったらこの順番に沿って読んでいけば関連性が見えるのでより面白いと思います。
- ニッコロ・マキャヴェッリ「君主論」
- トマス・ホッブズ「リヴァイアサン」
- ジョン・ロック「統治二論」
- ジャン=ジャック・ルソー「社会契約論」
- ジャン=ジャック・ルソー「人間不平等起源論」
- アダム・スミス「道徳感情論」
- アダム・スミス「国富論」
- カール・ポランニー「大転換」
- デヴィッド・リカード「経済学および課税の原理」
- トマス・ロバート・マルサス「人口論」
- アレクシ・ド・トクヴィル「アメリカの民主政治」
- ソースティン・ヴェブレン「有閑階級の理論」
- ジェレミ・ベンサム「道徳および立法の諸原理序説」
- ジョン・ステュアート・ミル「自由論」
- メアリ・ウルストンクラフト「女性の権利の擁護」
- フリードリヒ・ヘーゲル「法の哲学」
- フリードリッヒ・リスト「政治経済学の国民的体系」
- カール・マルクス「資本論」
- カール・マルクス「共産党宣言」
- マックス・ウェーバー「官僚制」
- フレデリック・テイラー 「科学的管理方法」
- ベネディクト アンダーソン「想像の共同体」
- ウラジーミル・レーニン「帝国主義論」
- ヨーゼフ・シュンペーター「帝国主義と社会階級」
- ジョン・A・ホブソン「帝国主義論」
- ジョン・メイナード・ケインズ「一般理論」
<ディスカッションの雰囲気:古典政治経済>
これらを用いてディスカッションします。例えばホッブスとロックを読んで人間性について考える。ホッブスは「人間はみんなわりぃーやつらだ!」と考えロックは「人間はみないいやつ!」と考えるので誰が主権を持つべきかと話になるとホッブスは特別な一人(君主とか)が主権を持つべきと言いロックは国民に主権があると主張するとかそういったことをどんどん話していく。するとクラスの大半が「民主主義の方がいいでしょ!」ってなる。
でもロックもホッブスも「もし誰かにぶん殴られそうになったら正当防衛してもいいよ!」と主張してるけどロックが言う様に人間みないいヤツだったらそもそも殴られる心配ないでしょ?じゃーやっぱり人間って悪いやつだと考えて政府は法律を作るべきなの?とか終わりなく掘り下げていく。
他にもルソーを読んで不平等はどこから来るのか?資産はどこから来るのか?頑張って働いて得た資産や価値(労働価値説)は政府が守るべきでその為に法律を作ろうってロックとかが言ってたけど相続も法で守られていてそれは労働なしで資産を得られるって不平等じゃんかー。。とか色々。
こんな調子でどんどん読み進めてアダム・スミスやマルクスなど代表的な著書を議論し現代の内容にシフトしていって最近日本でも話題になっているピケティの21世紀の資本論とか読んだりするのが政治経済専攻です。